メニュー

小児のアレルギー疾患

アレルギー性疾患は年々増加し生徒の約4割が何らかのアレルギー性疾患に罹患している。        

1.アレルギーとは「好ましくない反応」

わたしたちのからだは、見知らぬやつが外から入ってくるとそれをはねのけようとするしくみをもっている.これは外界からの侵入者である抗原に対して、からだの中に抗体ができる、そしてそういう状態になったところへまた同じ抗原がやってくると、この抗体はその抗原と反応するためで、この反応を抗原抗体反応という.

  • 免疫:よい抗原抗体反応(からだに利益を与える)→はしかの予防接種など
  • アレルギー:悪い抗原抗体反応(からだに害を及ぼす)→気管支喘息、じんましんなど
  •  

2.アレルギー反応には個人差がある

アレルゲンがからだの中へ入ってきたからといって、誰でもアレルギー反応をおこすわけではなく、おこしやすい体質の人とそうでない人があり、そういう体質は遺伝する.

 

3.アレルギー疾患はなぜ増えてきたか?

    30年間で3倍以上になっている.

    アトピー素因は 人口の20%前後

ダニの増加

   生活環境の変化:鉄骨、鉄筋様住宅、サッシ窓、じゆうたん、室内暖房の普及

   ある程度の高温と適当な湿度によりダニやカピが繁植しやすい.

食生活の変化

   豊かな食生活となり、乳幼児においてもときに過栄養となる傾向がみられる.

   栄養価の高い食物は抗原性も強く、アレルギーをおこしやすい.

   アレルギー体質を有するあかちゃんが、乳児初期に抗原性の強い食物を与えられると、アレルギーマーチの進行のきっかけとしてはたらき、その後いくつかのアレルギー性疾患をひきおこす.

大気汚染

  a.硫黄酸化物(Sox、)

   産業廃棄物、四日市喘息、横浜喘息

  b.窒素酸化物(NOx)

   室外;自動車の排気ガス、工場排煙

   室内;石油ストーブ、ガスストーブ、タバコ

  c.浮遊粒子状物質:ディーゼル車が排出する微粒子

心因(精神環境)

何らかの原因で発症した発作の治癒を遷延させる因子、重症化させる因子として重要.

具体的には家庭における勉強や塾への強制、学校での友人関係、教師との人間関係、家庭内不和、疾病利得の関与.

 

4. アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎

「アトピー」という親から受け継いだ体質によって起こる皮膚病.

「アトピー性皮膚炎」は、赤ちゃんの時に始まり、大部分の人は小学校の頃には自然と治ってゆきます。まれに年頃や大人の時まで続くことがありますが、例外的なことです.

かぶれ、湿疹、とびひなどとは違い、短期間の治療ですぐに治り切って終わるものではありません。そこで最も大切なことは、この病気の経過をよく知っておくこと、急に治らなくても、また毎年繰り返しても決してがっかりしたりイライラしたりしないで、言われたとおりの治療を受け、また注意を守るようにすることです.

病気の経過

赤ちゃんの時(生後2ケ月~2歳頃)は頭や顔に赤み、ぶつぶつ、かさぶたなどができる。冬になると悪くなることが多く、痒みが強くてよく寝られず機嫌も悪くなります(乳児期).

4歳~10歳の頃は、特に肘や膝の曲がった内側、頗、頸などの皮膚が硬くざらざら、かさかさし、痒いためひっかき傷、しるのしみだし、血のかさぶたなどがみられます.

からだ全体の皮膚も乾いて光沢ややわらかさがなくなり、青白いあるいは褐色の肌となります。これも一般に冬に悪くなりますが逆に夏に悪化することもあります(幼児期).

以上のように経過し、年齢とともに軽くなり、やがて自然に治って行きます.

日常生活上の注意
1.爪はこまめに切って清潔にしましょう.

どうしてもひっかきますので、爪が汚いと化膿(とびひやおできなど)の原因になります.

2.お風呂は毎日入り、いつも皮膚をきれいにしましよう.

石鹸はごく普通の浴用石験を用い、ナイロンのタオルで、ごしごしこすることはしない.

3.チクチクする衣服は、皮膚を刺激し、悪化させますので、直接皮膚に触れないように.肌着は吸湿性のある木綿性のもので、汗などで汚れたらすみやかに取り替えてください.
4.運動で汗をかいた場合はそのままにせず、シャワー、入浴などして清潔を保つように.
5.食物アレルギー

 特定の食物(アレルゲン)を摂取することにより、アトピー性皮膚炎、じんましん、腹痛、喘息発作などのアレルギー症状があらわれる.

診断:問診、食物日誌、皮膚テスト、血清IgE値、アレルゲン非特異IgE抗体、アレルゲン特異ⅠgE抗体、食物除去試験、食物負荷試験、ドロップスクリーン

食物抗原の種類として頻度の多いものは、動物性のものとして鶏卵、牛乳、肉類、魚類であり、植物性のものとして大豆、小麦、そば、米、ピーナッツ、アーモンドなどがある.

除去食療法:現在のアレルギー症状の軽減、消失、耐性獲得の促進、他のアレルギー疾患発生の予防を目的とする。症状が重症で、日常生活に支障をきたす場合や他の治療法の効果が少ないときに適応となる。アレルゲンと判明した食物は完全に除去することが原則.

 学校給食は社会教育の一端を担うものであるから学童期には薬物療法を併用しながら、除去が不十分であっても、学校を中心とした生活基盤を重視するほうが重要と思われる.

 

6.気管支喘息

 発作性に始まる喘鳴、咳、呼吸困難を繰り返して起こす疾患.

どんな病気?

突然ヒューヒューゼーゼーいう咳がでて、呼吸が苦しくなる発作がみられ、年に何回か繰り返す.天気の変わり目や、気温の不安定なとき(秋口や梅雨時など)に起きやすい.

原因は?

アレルギーを起こしやすい体質(両親から受け継ぐ)&生活環境

アレルゲン:家の中のダニやほこり(ハウスダスト)、ペットのふけ、花粉やカビなど

風邪をひいたり、ストレスや疲れがたまると、気管支の粘膜が敏感になる.

発作を何度も起こすと、いつも気管支の粘膜が敏感になり、再発しやすい.

症状は?

コンコンという咳で始まり、呼吸が速くなる.

呼吸のたぴにヒューヒューゼーゼーという発作が起きる.痰が気管支にからむ.

息を吸うときより、吐くときが苦しく、息を吐く時間が普段より長<なる.

ぜんそく発作は夜中によく起こる.

治療は?
  • 発作が起きたら、上体を起こして、前かがみにすわらせ、背中をさする.
  • 冷たい水を飲ませて、ゆっくりと大きく腹式呼吸をする.
  • 吸入療法;気管支拡張剤
  • 抗アレルギー剤、ステロイド吸入療法
予防は?

過保護は禁物:発作が起きていないときは、普通に生活する.

自律神経の鍛錬:薄着にして、外で遊ばせる.乾布まさつ.冷水シャワー.

        お風呂あがりに冷たいタオルで体を拭く.

掃除をこまめにして、じゅうたんはやめ、ぬいぐるみなどは遠ざける.

生活リズムをきちんとさせ、疲れをとる.

 

7.アレルギー性鼻炎,結膜炎(花粉症)  

どんな病気?

スギ花粉など、ある特定の原因物質が鼻から吸い込まれたり、目に入ったりすることによって起こるアレルギー症状.

原因は?

アレルゲン(抗原):呼吸とともに吸い込んでしまう空気中にある異物

①ハウスダスト(家の塵、その中にいるダニ)

②春の花粉(スギ、ヒノキなど)

③初夏:稲科(カモガヤ、ハルガヤ、ホソムギ、スズメノテッポウなど)

④秋の雑草(ブタクサ、ヨモギ、アキノキリンソウ、カナムグラなど)

⑤カビ頬

⑥動物上皮(ネコ、イヌ、モルモット、ウサギなど)

「花粉症」:特に花粉が原因で鼻や目に起こるアレルギー

症状は?

鼻の症状:発作性に繰り返して起こるくしゃみ、鼻水、鼻づまり

眼の症状:眼のかゆみ、充血、涙目、目やに

治療は?

2月の半ばよリスギ花粉の飛散が始まるので、アレルギー反応を抑える抗アレルギー剤を早めに(2月になったらすぐ)飲んでおくと効果的.

眼のかゆみがでてきたら、抗アレルギー剤の点眼液を続ける.

鼻炎の症状の強いときは、点鼻液を使う.

予防は?

ポイント:アレルギーを起こす原因物質を発見して、身のまわりからできるだけ取り除く.

①晴れて風のある日は外出を控える.

 花粉はよく晴れた風のある日(特に雨上がりの翌日)によく飛散する.

②室内への花粉の侵入を防ぐ. キッチリと、窓を閉める.

 ふとんや洗濯物を取り込む際には、花粉を十分に払い落とす.

③雑草が原因なら除草する.

④部屋の中はいつも清潔にする.            ・

⑥ストレスを避け、十分な睡眠をとる.

⑥風耶をひかないようにする.

 風邪をひくと鼻の粘膜が一層弱くなり、症状が悪化しやすい.

⑦当院では、スギ花粉症とダニによる通年性アレルギー性鼻炎に対して

根本的な体質改善が期待できる「舌下免疫療法」を積極的におこなっています。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME