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生活習慣病の若年化とその予防

生活習慣病(life style related disease)とは:運動不足、食生活の乱れ、ストレスの増加、生活リズムの夜型化といった生活習慣が持続することによる健康障害(特に動脈硬化促進).

具体的には、肥満、高血圧、高脂血症、糖尿病など.

 

小児期に生活習慣病が問題となる背景

  1. 運動不足の子どもたち:

学校以外で運動をしたものの割合:小学生50% 中学生30% 高校生10~20%

運動をしない理由:時間がない49.3% 場所がない24.5% 仲間がいない11.4%

  1. 疲れている子どもたち

「眠たい」と訴えているもの:3・4年生40% 5・6年生男子43%女子47.6% 

中学生男子58%女子72.6% 高校生男子63.8%女子67.1%

  1. 学校の成績を心配する子どもたち

  2. 朝食の欠食 朝食抜き:小学生6% 中学生13% 高校生17%

朝食を食べない理由:食べる気がしない42.6% 食べる時間がない41.8%(夜更かし型)

  1. 外食の習慣:そば・うどん類、お寿司、どんぶりもの、カレーライスなど

  2. ファストフード(fast food):注文してから受け取りまでが非常に早い

    • 野菜の摂取不足;ポテト、玉葱、レタス、コーン、トマトなどで、量は極少量.
    • 食物繊維の不足;野菜と米、小麦など主食になる穀類の摂取不足.10g/1000kcal
    • エネルギーの過剰摂取;糖分摂りすぎ:炭酸飲料.

脂肪の取り過ぎ:ハンバーガー、フライドチキン、フライドポテト.

④ ペットボトル症候群:清涼飲料水のぐい飲み→血糖値が急上昇し意識を失う.

具体的な生活習慣病対策

  • 危険因子をスクリーニングして早期に対応する.
  • 健康教育:食生活以外にも児童生徒の生活習慣病の予防対策としてその要因の除去が必要.
  • 運動不足、親の過保護の是正
  • 正しい食習慣とともに身体運動の習慣を身につけるなど規則正しいライフスタイルが必要.

 

子どもの肥満

出現頻度:過去30年間で約3倍に増加.低学年5% 高学年10%

Ⅰ.肥満とは?

肥満とは、多量の願肪が皮下などに蓄積し、脂肪組織量が異常に増加している状態.

脂肪は糖質からつくられる:糖分は食べ物として摂取されると、体内で各種の酵素により

ブドウ糖に分解され、このブドウ糖が小腸で吸収され、体内の各組識に運ばれ、エネルギーを発揮する。しかし、過剰に摂取すると、肝臓で脂肪に変化してしまう.

脂肪は大切な栄養成分で、我々の身体には必要不可欠なものだが、量が多くなると、血管に付着し、動脈を硬化する。そのために心臓病や脳卒中、高血圧の引き金となる.また、

糖尿病、高脂血症、胆石症、脂肪肝(肝障害)、痛風など、さまざまな病態を合併しやすい.

Ⅱ.問題点

子供の肥満は、大人の肥満に移行する可能性が非常に高い.

子供の肥満は脂肪細胞が増えることから、中年以降のみられる脂肪細胞が大きくなることによる肥満と異なり痩せることがとても困難.

Ⅲ.肥満の判定法:体重計測は週1回できれば朝に行なう.

太り気味:標準体重より10~20%多い.

肥満:標準体重より20%以上多い.

Ⅳ.肥満児の食事療法
食事療法の原則

1.成長発達を妨げないこと.

 糖分はおさえても、成長に十分な蛋白質、脂質、ミネラル、ビタミンの摂取は大切.

2.本人や家族の生活を妨げないこと.

3.本人や家族の苦痛とならないこと.

4.実施しやすいこと.

 

一般的食事指導

1.夜食を避け、一日三度規則的な食事をする。朝昼おもく、夕食かるく.

2.薄味として主食摂取を減らす.

3.低カロリーで、かさの大きい食品を選ぶ.

野菜類、きのこ類、海藻類、こんにやくなど.

4.植物織維を多く含む食品を多く利用する.

ゆっくり食べることにつながり、早く満腹感が得られ、腸からの吸収を低下させるメリットがある.

5.欲求不満を解消する目的で、低カロリーでもおやつは与えるようにする.

 甘いジュース、コーラ、スナック菓子、チョコレート、飴は、原則として禁止.

 代用品として、寒天、トコロテン、スルメ、コンブ、牛乳、スイカ等を与える.

6.食べる順序は、最初に汁物を飲み、次に野菜サラダ、魚、肉をしっかり食べ、最後に

  米飯、パンを食べるようにする.

Ⅴ.肥満児の運動療法

肥満児は太っているため動作が鈍く、動くと疲れやすい.屋外運動、体育を嫌がり、屋内で過ごすことが多くなる.結局、運動量が少なくなり、肥満を助長することになる.

肥満児の多くは運動能力が低下しており、最初から激しい運動を課することは、患児の運動に対する嫌悪感や恐怖心を増長したり、膝、足首の関節障害を起こしたりすることになりかねないので、軽い運動で楽しみながらできるものをはじめに選んでやるようにする.

単位時間当たりの消費エネルギーが高い運動よりも消費エネルギーが低くても持続的に運動できるものがよい.その方が総量としてのエネルギー消費が多くなるから.

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